初めまして、雛ちゃん。

シジュウカラの雛ちゃんが巣箱の窓から顔を出しました。長男くんです。黄色が残った大きなクチバシから「ゴハンちょーだい、ちょーだい」と言い、外の世界を眺めています。でも、まだ新しい世界へ飛び出す勇気がありません。
シジュウカラパパが巣箱の窓にぶら下がって説得に行きます。
「大丈夫だよ、パパがついてる。ほら、ここに足をかけて羽を広げればいいんだ」。
でも心配性のシジュウカラママは餌をくわえてきて言いました。
「パパ、そんなにせかさないの。しっかり体力をつけさせてからね。はい、子供たち、ゴハンたくさん食べて」、そう言って、巣箱の中に入って食べさせます。
午前中から親鳥は相変わらず餌を頻繁に運んでいましたが、時々、巣箱の近くから雛ちゃんたちに呼びかけています。
「勇気を出せ!来いよ! 飛ぶんだ!」松岡修造さんのように熱いパパのようですが、シジュウカラママを守るように、周囲を見張っている時もあったりして、なかなかのイクメンぶりです。
こちらとしたら、もう日も暮れるし、明日にしたら?と、老婆心ながらアドバイスしたいところです。

3年前の、ヤマガラの巣立ちの時は夕暮れ近くでした。すでに、3~4羽の雛ちゃんが巣立ったあと、空が一気に暗くなり、風も出てきて、すごい雷雨になりました。
末っ子だけが巣箱に残されました。巣穴から、飛ぼうか、どうしようかと迷っている顔が見え隠れします。 親鳥は、「早く! 早く飛び出しなさい!」と、末っ子に必死で呼びかけていましたが、ものすごい雨音で、その声もかき消されてしまいました。
私たちはハラハラしながら、家の中から見ていましたが、その雷雨の中を、末っ子ちゃんはついに飛び出してしまったのです。でもあまりに激しい雨で、サンルームの窓ガラスの下にうずくまって、雨に打たれながらジッとしていました。飛べません。こんな豪雨では飛ぶどころではありません。しばらく見てましたが、これでは死んじゃうと、手を差し伸べると、ヒョイと手に乗りました。
こうして、その日は、小さなダンボールに入れて休ませました。餌、餌・・・でも、あげるものは何もありません。失礼ながら、死んだハエがいたので、こんな硬くなったのは食べないよなーとも思いましたが、とりあえず箱に入れてやりました。箱の下にはホッカイロを敷いたVIP待遇カプセルホテルです。
翌朝早く。末っ子くんは、生きていました。
ダンボールをデッキに置いて蓋を開けると、元気に飛んで行きました。そしてGREEN WALKのフェンスにとまってたら、すぐに2羽の親鳥が、ちゃんと迎えにきました。よっぽど心配してたでしょう。
その時、親鳥の1羽が、グルッと私のほうに飛んできたあと、親子3羽は、カラマツ林に飛んで行きました。きっとお礼を言いにきてくれたんだ。。。兄弟にも会えたはずです。 
そう、それから2年間ほど、私がデッキに出たら、いつもどこからともなくやってきて「チチッ」と挨拶をして、ヒマワリの種をくわえていくヤマガラがいました。きっとあの末っ子くんです。一度だけ、私の手からヒマワリの種を持っていったこともありました。

シジュウカラとヤマガラの巣立ちに至るまでは、毎年、いろんなドラマが繰り広げられてきました。
鳥たちは一生懸命生きている。それが素晴らしくって、可愛くて、立派に思えて、今年も巣立ちを楽しみにしているGREEN WALKのアルジとツレアイです。

顔をのぞかせた雛ちゃん。
 
大丈夫だよ、飛び出せ!と説得するシジュウカラパパ。
   シジュウカラママが餌をくわえてやってきました。



 



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