誰もが、かわいい時代。

サンタクロースの存在をいつまで信じていたのか? 私の場合、はっきりとは憶えていません。
ただ、少なくとも小学低学年までは、クリスマスカードの絵のように、サンタクロースがクリスマスイブの真夜中に、トナカイが引くソリに乗って、鈴をシャンシャンと鳴らしながら、プレゼントを持ってきてくれると信じていたのは確かです。
毎年、その瞬間を目撃しようと待ち構えているのですが、残念ながら眠ってしまい、翌朝、枕元に置いてあるプレゼントを見て、喜ぶ前に、しまった、やっぱり来たんだ、今年もサンタクロースに会えなかったと悔しがったものでした。
でも、それが両親の仕業であって、サンタクロースはいないとわかったのは、いったいいつ頃、誰に聞いて知ったのかは憶えていません。
いえ、定かではありませんが、小学校の同級生から聞いたような気もします。
その点アルジは、誰から聞いたかだけは、はっきり憶えています。
たぶん小学低学年の時らしいのですが、3歳下の弟から「お兄ちゃん、サンタクロースはいないんだぜ」と言われたそうです。
毎年プレゼントをくれていたサンタクロースがいなかったこと、それを自分より幼い弟から教えられたこと。兄貴面していたはずのアルジにとって、2重のショックだったようです。
それを聞いた時、私は吹き出してしまいました。アルジにもそんなかわいい時代があったのねえ。
クリスマスが来るたびに、私はその愉快な話をむし返して、アルジから聞きたがります。




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