童謡『月の沙漠』。もの悲しいメロディーに、王子様とお姫様がラクダに乗って旅する詩が印象的で、子供心に情景が浮かんで歌の1番、2番をよく歌った記憶があります。
作詞:加藤まさを、作曲:佐々木すぐる。
今まで作曲者も作詞者も気に留めていませんでしたが、哀愁を帯びた歌自体はなんとなく大人っぽくて好きな童謡の1つでした。
千葉県の御宿海岸に「月の沙漠」に登場する2頭のラクダに乗った王子と姫をあしらった像が建てられていると知り、オフ日の今日、行ってみました。
「月の沙漠」※
【※いい歌詞なのでここに転載していましたが、日本音楽著作権協会(JASRAC)より削除せよと指摘があったので、削除を余儀なくされました。】
作詞の加藤まさをさんの生まれ故郷は静岡県藤枝市で、幼い頃に焼津の海岸へよく遊びに行っていたことから、その幼い頃のイメージが『月の沙漠』に影響を与えているとの説もありますが、青年期に結核の療養のためにたびたび訪れていた千葉県御宿。その御宿海岸をモチーフの1つとしたこともあって、1976年5月には、作詞者自ら御宿町に移住し、翌年に同地で死去しました。
この歌詞について、当時の朝日新聞記者・本多勝一は以下のように痛烈な批判を行っていたそうです。
遊牧民は水を運ぶのに水甕ではなく皮袋を使う。まして、金属製の甕では中の水が煮立ってしまう。王子と姫が二人だけで旅をしていたら、たちまちベドウィンに略奪される。砂漠で月が「朧にけぶる」のは、猛烈な砂嵐が静まりかけるときぐらいに限られる。
(ウィキペディアから引用)。
それに対して「世界の民謡・童謡」サイトで実に面白い、ごもっともな記述がありました。
「乾いた砂の砂漠ではなく、水分を含んだ海岸の砂であって、沙漠のことを表現している詩。また童謡の世界観に対して現実を持ち出して批判すること自体が的外れではないだろうか? 例えば『およげ!たいやきくん』という童謡に対して、「たい焼きが海を泳ぐなんて、現実のたい焼きではありえない」などと真顔で批判する大人がいたら、どう感じられるだろうか?」と。
「月の砂漠記念館」には、作詞の加藤まさをさんに関する資料や説明が展示されており、そばの月の沙漠記念公園へ行ってみると、広い砂浜に、ラクダに乗った月の沙漠の王子様とお姫様が若く端正な顔立ちで、まるで本物のシルエットのように建ち、想像以上に素敵なものでした。
記念碑と言うと、大きな石碑に詩が書かれているのをよく見ますが、御宿の月の沙漠の記念像は、海をバックに童謡から抜け出して、妙にリアルな世界観がありました。
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