このイカルは、あのイカル君。

イカルを見ると、窓ガラスにぶつかって、我が家に4週間入院していたあのイカル君に見えます。
我が家が懐かしくなってきてくれたんだとか、元気だよって挨拶しにきてくれたとか、勝手な思い込みをしています。

保護した時は、黄色の太いクチバシで噛まれたら指がちぎれるかもしれないと、豚革の作業用手袋をして世話をしていました。でもこのクチバシに似合わず、気力も体力もないようで噛むどころか牽制する素振りもありません 。光沢のある黒い頭に黒く光る目が印象的でした。
木の枝を拾ってきて止まり木を作ってやると、やがて不自由そうな羽を一生懸命羽ばたかせて止まるようになり、歩けるようになるとフロアを歩いて私から逃げまわっていました。
それからだんだん低い所を羽ばたいたり駆け足で逃げるようになったので、1日に5、6回、追いかけっこをしてリハビリの繰り返し。
低空飛行がだんだん高くなっていき、少しずつ少しずつ回復して、ついに天井の照明に止まって偉そうに私をジッと見下ろすようになりました。
それでもまだ本当に遠くまで飛んでいけるかわからないので、充分に療養させましたが、退院の許可を出したお天気のいい日、入院部屋の窓を開けてやると、やがて自由な風を感じたのか、自分から飛んでいったイカル君です。

ちょっと寡黙な佇まいで、樹上で時々向きを変えながらずっと止まっていた昨日のイカルは、あのイカル君と思っておきましょう。





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