カレイとカレーと加齢。

「今日、何にする?」
「魚が食べたいなあ。いただいた干物があっただろ?」と、アルジ。
「そうね。アジと、甘鯛と、カマスと、カレイ。どれがいい? そうだ、カレイにしよう」と、私。
冷凍庫には、萩の叔母と沼津の従兄弟から送ってきたおいしい地元の一夜干しが沢山あります。私はカレイを出して魚をレンジで焼きはじめました。

「今夜、何?」と、アルジ。
「カレイよ」
「うわー、カレー!」と、アルジはハイテンションで喜びました。自分でも驚くほどの声だったそうです。
「大根おろし、お願いできる?」と、私。大根おろしはアルジの仕事と決まっています。アルジは大根をおろすのがじょうず。私は大根おろし、食べるのは好きですが、おろすのに力がいるので疲れるし、つい大根がずれて指をおろすこともあり、好きではないのです。その点、アルジは力があって早いので、いつもお願いしています。

「大根おろし、どれに入れる?」と、アルジ。
「お魚に添えるから、そのまま置いといて」。
私がほうれん草を茹でていると、アルジはせっせと大きなスプーンをテーブルにセットしています。
「カレーのお皿は?」と、アルジ。
ここで私は気がつきました。アルジはなにか勘違いしてるぞ。でも大根を自分でおろしたのに。あー、いよいよ認知症のお出ましかも・・・と、私は笑いをこらえていました。
カレイが焼けたので大根おろしを付け合せにしたお皿に入れ、「はい、カレイ」と、私。
ここでようやくアルジが気がつきました。
「あ、カレイか。そうだよね、魚にしようって言ったよね。だから大根おろしだったんだよね」と、アルジも笑いだしました。
加齢によるカレイとカレーライスの勘違いだったのでしょうか。いえ、単にどちらも食べたかった・・・そう思うことにしましょう。
外は、落葉した枝を大きく張りめぐらせた木々も眠っています。アルジもツレアイも冬眠ボケすることが多々あるようで。





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